世界農業遺産に関する能登コミュニケ 2021

我々、すなわちアフリカ、アジア、欧州、及び南米の各国政府や地方政府、国際機関、市民社会、その他を代表し、石川での世界農業遺産国際会議2021の参加者は

  • a世界農業遺産認定地域の保全と地域の発展を目的とするために開催された世界農業遺産国際会議2021の結論を歓迎する。
  • b世界農業遺産が内包する生態的、社会的、経済的、文化的及び景観的価値とそれらを継承していくことの重要性を認める。
  • c世界農業遺産が気候変動の緩和と適応、生物多様性の保全など世界的課題の解決において統合的・地域的解決を目指すための重要な手がかりを持ち、ウィズ/ポストコロナ時代の持続可能な社会の構築に貢献することを認める。
  • d世界農業遺産に関連する取組は、世界農業遺産認定地域及びその候補となり得る地域を保全し、これら地域の住民のために行われるものであることを認める。
  • e本会議のセッション及び記念シンポジウムにおいて、世界農業遺産認定地域における取組や成果、課題、今後の展望について共有し議論する機会が提供されたことを歓迎する。
  • f本会議を開催した石川県のイニシアティブを歓迎するとともに、世界農業遺産に係る様々な貢献に留意する。
  • g本会議の傍らで開催されたGIAHSユースサミットの高校生からのGIAHSユース宣言の声と提言及び世界農業遺産の保全に対する彼らの熱意を歓迎する。

以上を考慮し、この会議は以下を勧告する。

  • 1世界農業遺産に関する認知度が向上し、動的保全の活動等が広く理解されるよう、多様な機会を捉えて情報発信を継続する。
  • 2世界農業遺産認定地域の国内、地域、国際間の連携(グローバル・パートナーシップやトゥイニング)を促進し、世界農業遺産の認定地域間の意見交換・経験共有を行うとともに開発途上国の候補地域への支援を推進する。
  • 3世界農業遺産を保有する各国政府や認定地域の関係者・専門家に対し、世界農業遺産地域の動的保全の履行を目的とした保全計画(Action plan)を着実に実施すること及びそのためのモニタリングと評価を含む仕組みづくりへの支援を勧告する。
  • 4世界農業遺産認定地域の農林水産業システムに関する科学的な知見や、認定地域での活動、成功体験やそこから得られる教訓に関して情報を収集し、国内外の農業関係者や農業政策立案者との共有を図り、世界的課題の解決やSDGsへの地域的貢献に向けて有効活用することを勧める。
  • 5SATOYAMAイニシアティブなど親和性の高い他の取組とも連携しつつ、世界農業遺産認定地域が保持している農業生物多様性の次世代への継承を奨励する。
  • 6世界農業遺産認定地域の地域資源を利活用した新たな経済活動の創出、特に自然的・文化的・歴史的な資源を保全・活用するGIAHS特有の農村ツーリズムの推進、地場産品の商品価値の向上など所得向上に向けた取組を促進するとともに、個々の取組を地域全体の取組へと進展させる仕組みづくりを奨励する。
  • 7地域コミュニティの現状を踏まえ、持続可能な地域づくりを担う多様な主体、女性、若者等の様々な立場の関係者も取り込んだ世界農業遺産の動的保全に向けた包摂的な体制づくりを推進し、地域内外にわたるネットワークを強化する。
  • 8世界農業遺産認定地域で培われてきた自然資源、生態系及び環境との調和性について、その劣化を招かない管理や技術を通じ、持続可能な利用を継続し、また本会議の成果を気候変動枠組条約や生物多様性条約への貢献をはじめ、あらゆる機会を通じて発信する。